Vol.7 なくし物

朝、筆箱にえんぴつを6本いれても、帰ってくると、3本になってる。ひどいときは1本もない。どこに、飛ばしてくる?
落ちていた上着を「これ誰のですか?」とたずねても、知らん顔。落とし主は絶対いるはずなんだけど。落としたことに気づいてないんだね。
「あのとき、どこに置いたか思い出してごらん」「うーん、覚えてない」。即答するな!

脳科学者 篠原菊紀先生の解説 SD攻略法

なくし物は「気づき」を待つ

お母さんたちにお子さんの「男性度」を調べるアンケートを実施すると、当然ですが、男の子のお母さんの回答のほうが「男性度」が高くなります。

アンケートには、「次に何をするかを考えていて、うわのそら」「整理整頓が苦手、もしくは極端に場所にこだわる」といった質問項目も含まれているので、これらは「男性的な特徴」とされているようです。ですから、女性のお母さんから見れば、男の子は、「持ち物のことなんか忘れて遊びに夢中になる」「ちゃんと置くべき場所に置いてなくならないようにするのが苦手」と映るでしょう。

アメリカのペンシルベニア大学の研究では、女性の脳は大脳の左脳・右脳間の連結が強く、男性は右脳内・左脳内の連絡が強いことが明らかになっていて、男性は女性にくらべて同時作業が向かないと推測されています。ということは、男の子は、遊びや勉強をしながら片づけ、あとのことを考えて整理整頓しておくといった、ふたつの作業を同時に行う「デュアルタスク」が苦手なのかもしれません(もっとも、この研究によると、男女差が顕著になるのは思春期以降だそうですから、本当に違いを感じるのはこれからかもしれません。覚悟しておいてください)。

しかし一方で、男の子の双子をたくさん集めて「男性度」を調べると、「一卵性双生児」のほうが「二卵性双生児」より、ふたりの得点が近くなります。DNAが一致している一卵性双生児のほうが、結果が似るということは、「物をなくす」とか「うわのそら」とか、いわゆる「男の子っぽさ」にはY染色体以外の「遺伝」が影響しているのだと考えられます。この男性性の遺伝率は4割と見積もられています。「物をすぐなくす」傾向の強い男の子もいれば、そうでない子もいるのは、お母さん、お父さんから半分ずつもらったDNAの影響から4割、環境の影響から6割で説明できるわけです。

そして環境のうち家庭環境(共有環境)の影響はほぼ0なので(行動遺伝学では性格や行動特性に与える家庭環境の影響は驚くほど小さく、ほぼ0であることが繰り返し報告されています)、普通に育てている限り、育て方のせいで「物をすぐなくす」子になったわけではないと考えられます。

ですから、お子さんが「ものをなくす」のが気になるなら、まずはご自身、そして配偶者の昔を振り返っていただき、自分はどうだったか、また、どのくらいでそのことが目立たなくなってきたか、思い出してください。そして、「なんだか、知らない間に気にならなくなった」というのも含めてどう対処したか、考えてみましょう。おそらく、それが妥当な対処法になるでしょう。

とはいえ、何もせずにいるのも、もどかしいですよね。【あるある1】のように、毎日筆箱の中身をなくしてくるなら、万が一なくしてこない日があれば、その日は思いっきりほめましょう。残念ながら、なくしてきた日でも、なくさなかった物があるでしょうから、そこをほめましょう(「筆箱は持って帰ってきてえらい!」とか...)。

なくさないための意識の使い方や行動をしていることに、本人が気づいていない、その行動を強化していないのが問題なので、その行動や意識の使い方を強化するよう条件づけすることが大事(「なくさないよう意識したらほめられた!」=いいことがあったと脳に覚えさせる)。なくなる物が、多少減るように、役に立っている行動はたくさん見つかりますから、そこをほめましょう。

【あるある2】のようなシチュエーション。ま、夢中になるのが男の子ということで。程度の差はありますが、おおらかな心で見守ってあげてください。 なくしてしまったとて、なくした物に意識が行ってないので、【あるある3】のように記憶もあやふや。「遊ぶ」とか「食べる」とか「○○する」が意識の中心で、ほかのことはすべてスルーしてしまうのが男の子の特性です。

なくし物が多い男の子をお持ちなら、「男の子はなくすもの」と腹をくくって、持ち物には名前をしっかり書いておく、消しゴム・鉛筆はダースで予備をストックしておく、そしてなくさなかったらすかさずほめるなど対策を練りつつ、彼の「気づき」を強化していくことです。もちろん、ときにはガツンと、「気づき」を促すのも大事です。

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