SWdesign|Design Future 007|2009年東京モーターショーを考える
スケッチは前回(2007年)東京モータショーで発表されたAudi A1 Metro project Quattro Conceptー私は将来発表されるそのプロダクションを担当していた。今となってはすっかり過去となってしまった 。
SWdesign|Design Future 007|2009年東京モーターショーを考える
今年の東京モーターショーは、日本社会に変革をもたらすターニングポイントになることでしょう。なぜなら、まだ知らない人も多いかもしれませんが、並みいる欧米ブランドが参加していないからです。VW(フォルクスワーゲン)・AUDI(アウディ)・グループが、不参加を決めたのは今年のはじめでした。その後、追随するかのように、ほかの欧米ブランドも相次いで不参加を表明しました。このニュースを聞いて、多くの自動車業界に携わる人が、日本のマーケットの頭打ち状態や景気の悪化など、マイナス面の要因ばかりをうわさしました。が、私は、そうは考えませんでした。むしろ、日本が目覚めるすばらしい機会だとさえ感じました。
日本人は、いまだ欧米に対してコンプレックスを持つ傾向が見られます。これは日本だけではなく、アジア全体にもいえることでしょう。コンプレックスの原因のひとつは、いうまでもなく歴史的境遇のなかで生まれました。しかし、本来、コンプレックスとは、自発的なものです。つまり、原因が歴史的背景による外因であろうと、コンプレックスを感じるのであれば、本人に「自分がない」、「自信がない」という大きな証拠になります。自分が自分でさえあれば、他人を見上げることも、見下げることもなくなるはずです。いまだに欧米に対してコンプレックスを抱く日本人の問題は、『こころ』にあるのです。
アジアを訪れるたびに、気付かされることがあります。中国、インド、台湾、シンガポールのいずれも、いまだ『Made in Japan』へのあこがれを持っています。これは、歴史的背景によって築かれた欧米に対するあこがれとは違う、アジアのオリジナリティーなあこがれです。かつて、「日本製品は欧州のできの悪いコピー」とのレッテルを貼(は)られた時代もありました。しかし、日本はそんな壁を乗り越えてきました。いまでは、欧米の若いクリエーターやデザイナーが、日本のサブカルチャーに影響を受けるなど、日本から刺激を受けたり、学んだり、引用したりする時代になりました。アニメやマンガをはじめ、プロダクト、ファッション、ジーンズなど、あらゆる分野で日本はそのきちょうめんで確実な仕事ぶりでオリジナリティーを高めて、他国がまねできないレベルに達しています。欧米コンプレックスは、もう過去の話にしましょう。
今年の東京モーターショーには、欧米ブランドはいません。これは、これからの日本自動車業界の試練ではなく、すばらしい機会なのです。考え方を変える必要があるのです。大いに自分たちのすばらしいモノやコトを日本の皆さん、アジアの皆さんにアピールしましょう。私が言いたい機会とは、もうヨーロッパやアメリカを見て生きるのはやめようということです。もっと心を込めて、アジアとお付き合いしていく時代が来たということです。もう理解してもらえていると思いますが、これはビジネスだけではありません。アジアの人たちと、もっと『こころ』と『こころ』のコミュニケーションがより必要となるということです。もちろん、ハードな壁です。でも、これまでも乗り越えられてきたのです。
これこそが次の100年、日本が日本として生きていけるための基本コンセプトです。






