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Sometime Atlas

第十章 『里親になるということ』 06

生まれてから何カ月か、何年か、他人が育てた犬が、果たして自分になついてくれるだろうか?あるいは、さまざまな理由で人間不信になっている犬が、再び人間と仲良くやっていけるのだろうか?そんな心配から、里親になることをためらってしまう人も少なくないはずです。

 

 

 

でも、犬は人間の子供以上に !? 従順な生き物です。ちゃんと愛情を注ぎ、しっかり面倒をみてやれば、飼い主を主人として認識してくれるでしょう。過去にどんな不幸な飼い方をされ、人間という生き物に不信感を持っていたとしても、「この人なら信用できる、この人は自分を愛してくれている」と理解させることはそう難しくないと思います。マリアだってそうだったように、何頭ものわが家で里親を探した犬たちも、それこそ数週間もすれば表情が変わっていきます。こちらを信用してくれるようになります。

 

 

 

勘違いしてほしくないのは、食事を与えてさえいれば飼い主として認められる・・・ではないということです。たしかにマリアだって、食事のときの喜びようはMAXに達します。生きていて良かった、この家の子でよかったと、しばしの幸福感に浸っているはずです。いつもおいしい食事をありがとうと、心から感謝してくれるでしょう。

 

 

 

けれども、人間の何倍ものスピードで年をとり、多くは人間の1/5ほどの歳月しか生きられない犬にとって時間はとても貴重です。その短い犬生の中でいかに多くの幸せを与えてあげられるか・・・そう考えると、毎日の生活の中で愛情を注ぎ続ける必要があるのです。食事を与えているから、あとは何もしなくていい、では犬は幸せになれません。できる限りの時間、犬と接し、ふれあい、言葉をかけ、愛情を注いでほしいのです。

 

 

 

重要なのは「信頼関係」です。日々の生活の中でそれが構築されていれば、例えば飼い主が帰宅困難者になり、帰りが遅くなったとしても、真っ暗な部屋の中で「きっと帰ってきてくれる、それまでトイレは、ご飯は我慢しよう」と自分に言い聞かせて、ちょっと心配しながらも飼い主の帰宅を、首を長くして待っていてくれるでしょう。マリアの場合、3月11日の震災のとき、外出先でゲリラ豪雨に遭遇し、帰宅が遅れに遅れたときも、トイレを我慢し、いい子でいちずに家族の帰りを待っていました。ちなみに、マリアは夜6時すぎまで誰も帰って来ないと、30分に1センチ、首が伸びます。

 

 

 

 

maria_genkanmachi.JPG

        夕方、いつもの散歩時間に誰も帰って来ないと、首が長くなり始めます。玄関でこうしてけなげに待っていることもあるんです。もう、数㎝は首が伸びている。

 

 

 

わが家では今、2011年10月から始まる『DOG SAVES DOG』という、「1頭の幸せな犬が、1頭の不幸な犬を救う」という社会活動に参加しています。個人としては大きなことはできませんが、1頭の不幸な犬の里親となり自分の手で幸せにしてあげて、その犬が1頭の不幸な犬を救う・・・そんな循環ができればいいと思っています。

 

『DOG SAVES DOG』コンセプトはこうです

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愛される犬と愛されない犬
愛されないのは その犬のせいでしょうか?
あなたと あなたの愛犬が救える もうひとつの命のために。
DOG SAVES DOG
それは 愛犬を 今よりもっと愛することで
恵まれない犬を救うことができる社会活動です
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これまでにない愛犬の写真、またはイラストと名前が入った、世界でたった1枚のマグネットステッカー、ステッカー、リフレクションバンドを購入することで、収益の一部が、不幸な犬たちを引き取り、里親を探す活動をしているNPO法人に寄付されるのです(東日本大震災で被災した動物たちも受け入れています)。

 

 

dogsavesdogmaria-+-Naoki-Aoyama.jpg これがDOG SAVES DOGのリボンステッカー。愛犬の写真、またはイラスト、名前が入る、世界で1枚だけのもの。色は選べます。このほかにリフレクションバンド、愛犬の顔写真も入る会員カードが送られてきます。

 

 

 

ところが、そのNPO法人、かつて、マリアの子供かもしれない里親の決まりにくい、鹿児島の繁殖場の中で片耳を失った子や、病気で片目を失った子供を率先して引き取ってくれたところだったのです。なんという偶然、巡り合わせでしょう!! マリアの産んだ(かも知れない)子供とこんなところでつながるなんて!!

 

 

 

 

kagoshima_beagle&blackrab.jpg

マリアの子供かも知れない、片耳を噛み千切られた黒ラブMIXの子犬♂と、片目が潰れているビーグルMIX♂。2007年4月4日、関西のNPO法人の代表の女性が、鹿児島の崩壊した繁殖場から救出し、引き取ってくれました。感謝、です。

 

 

 

ところで、里親になってひとつ思うのは、「イタズラしてもあまり腹が立たない」ということです。子犬から飼い始めたナナがイタズラをすると、それなりに怒ったものでした。ところが、マリアだとひどく怒る気がしないのです。マリアは劣悪な環境の繁殖場で生まれ育ち、子犬のころから短い鎖につながれていたため、いたずらをする自由さえ許されなかったのです。不幸な生い立ちからやっと幸せになれたのだから、ささいなことには目をつぶろう・・・そう思えるからかも知れません。

 

 

 

気がつくと、マリアがやって来る前より"心穏やかになっている" 自分を、"生き物に優しくなっている" 自分を発見できるのです。犬の里親になる、それは思いやりの心をより深く、豊かにしてくれる作用があったりするのかも知れません。

 

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