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Sometime Atlas

第六章 『愛犬と旅する幸せ』 05

③老齢期

 

生涯、旅好き、ドライブ好き、クルマ好きだったナナにとって最後のドライブ旅行は2004年12月15日から16日、わんわんミシュランの覆面調査旅行でした。大型犬の10歳5カ月といえばもうおばあちゃん。人間に例えるなら75歳ぐらいでしょう。とはいえ、犬はたとえ老犬になっても家族とのドライブが大好きです。1日中、ずーっといっしょにいられることは犬にとってなによりもの幸せなんですから。

 


 

その日、ナナは朝からこれまでもそうだったように、ソワソワ落ち着きません。目をキラキラさせ、玄関をグルグル回り、置いてある荷物をクンクン嗅(か)いでいました。今日は楽しいドライブ旅行に出掛ける・・・それぐらい犬の勘で百も承知なのです。さすが、"旅するゴールデンレトリーバー"だ。

 

 

 

suiran1.JPGナナにとって最後になったドライブ旅行。出掛けるのが大好きなナナは朝から興奮気味。自分でさっさと荷室に乗り込み、出発を待っていました。でも、これが最後だなんて、ボクもナナも想像もしていませんでしたけど・・・。

クルマは当時のスバル・レガシイ・ツーリングワゴン。荷室が広くスクエアで、乗り降りしやすく、ナナが大好きだった1台です。

 

 

 

このころ、ナナは糖尿病を患ってはいましたが、オシッコが近いぐらいでまだまだ元気。「生涯、わんわんミシュランの調査をがんばるワン」って感じでした。ただ、若いころと同じようにはいきません。スローライフって言葉がありますけど、体調に気遣いつつ、ゆったりとしたスケジュールを組んであげる必要があるのです。

 


 

そこで自宅から1時間半ほどの距離にあるペットフレンドリーと評判のホテルを調査対象として選択しました。比較的近距離で、ドライブ途中にお散歩休憩できるスポット(SA/PAなど)があり、クネクネした山道を通らずアクセスできるという、ナナにとってストレス最小限の条件のすべてをクリア。季節は秋から春にかけて。夏のドライブは老犬にとってはもはやNGです(仔犬だってそうだと思います)。人間もそうであるように、暑さで体力を消耗しますからね。

 

 


宿選びで決め手となったのは館内がバリアフリーであることでした。客室は2階でしたがエレベーターがあり、階段などを一切使わず、エントランスから客室へ、レストラン、ドッグランへと移動できたのです。

 

 

 

suiran6.JPG     夕食時、ナナは大好物のラムチョップに興味津々。クンクンしてます。もちろん、味付けされているので、あげられませんけどね。

 

 

ただ、今思えば、宿デビューのときにもふさわしい、1階の客室で目の前がドッグランまたは専用庭がある宿を選べば、ナナ(老犬)にとってもっと快適だったに違いありません。その当時、そんな好条件のペットと泊まれる宿などなかったですけど、今ならあちこちにあるのですから、マリアの老後はホント、バラ色だ!?


 

 

クルマもまた、老犬が乗りやすい車種を選びたい。抱っこできる犬種ならどんなクルマでも問題ありませんが、中大型犬だとそうはいきません。そのころ、わが家にはワゴンとセダンがありましたけど、例えばワゴン荷室に乗せる場合、自動車評論家の特権を利用して数多くのクルマにナナとともに試乗し、チェックした経験では、地面からフロアまでの高さは600mm以下が理想です。それ以上高くなると乗車時にそれなりのジャンプ力が必用で、降車時には前足の負担が大きくなってしまうのだそうです(と、元祖自動車評論犬のナナが教えてくれました)。介助して乗り降りさせるにしても、フロアは低いほうがお互い、楽に決まっていますよね。

 


 

もっとも、愛犬の足腰が弱くなったからといって、わざわざクルマを買い換えるのもなんですよね。最近では介護用品として、大型犬でさえ持ち上げられる取っ手付き胴着や、クルマの後席や荷室部分に使う犬用スロープなんかも販売されていますから、利用するのもいいと思います。ただ、スロープなど、ボクが知る限り販売のみ。使う期間は短いですから、人間の介護用品のようにレンタルシステムがあると嬉しいんですけどね・・・。


 

 

愛犬が仔犬のころの愛くるしさ、若年、壮年期の元気いっぱいの姿も、気がつけば懐かしい思い出です。繰り返しますが、犬は人間の何倍ものスピードで歳をとっていきます。老年期になると体力も衰え、さまざまな病気の心配も出てくるでしょう。それでも体調のいい日にはドライブに連れて行ってあげたい・・・それがボクの本音です。短い犬生だからこそより多くの家族との思い出をつくってあげたいのです。

 

 

 

 

suiran3.JPG宿の近くのショッピングモールにあったペットショップで、着ているTシャツとおやつを買ってもらったナナ。嬉しくて思わず口角があがっています。家族といっしょに宿で1泊ゆったり過ごし、お買い物・・・犬にとってこんな楽しい時間はないでしょう。ボクが今でも大好きな写真の1枚です。

 

 

愛犬が宙へ旅立ってから、あーしてあげたかった、こーしてあげれば良かった・・・では遅いのです。家族の一員として10年8カ月を過ごした大切な大切なナナを亡くしているからこそ、今、そう思えるのです。


 

 

「つぎはどんな楽しいところに連れて行ってくれるワンか?」最後のドライブからわが家に帰ってきたとき、ナナはその優しい垂れ目でボクたちにアイコンタクトしながら、そんなことを訴えていたようでした。

 

 

その願いは、残念ながらかなわなかったけれど、愛犬に楽しい未来、旅する幸せを夢見させてあげることって、とても大切じゃないですか。

  

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