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Sometime Atlas

第九章『マリアの幸せ』 04

社会性を身につけさせる意味 その1

 

 

 

「とってもいい子ですね」「しっかり、しつけられていますね」「社会性のある子ですね」

愛犬と外出して、誰かにそんな言葉をかけられたらとっても嬉しいですよね。飼い主も愛犬も鼻が高くなる。

 

 

そう、愛犬と暮らし、旅し、幸福な時間を過ごすためには、愛犬に社会性を身につけさせることが大切だと思っています。


 

 

そのためには可能な限り早く社会に出す・・・ということです。家の中での犬の立ち位置はもちろん(犬がご主人さまになってはいけません)、犬や人間の中で、どう振る舞えばいいのかを、身をもってしつけていくしかないのです。そのためには積極的にほかの犬とふれあいさせ、家族以外の人間の中にも溶け込ませることが重要です。


 

 

ほかの犬に攻撃的な振る舞いをしてはいけない、たとえペット同伴可能なカフェやレストランでも、無駄ぼえせず、おとなしくしなくてはいけない。でも、なかなか言葉で伝えることはできません。しかし、人間の子供がそうであるように、社会性とは自然に身につくもの。人間の子供なら、幼稚園や小学校での日々の生活、経験が社会性を身につけさせますよね。

 

 


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  カフェのフロアでおとなしくしているマリア.......に見えます。ほかのお客さんや犬に迷惑はかけません。粗相もしません。でも、おいしいものが出てくると・・・・・。代々木公園近くのラ・パッツアにて。

 

 

 

最近では愛犬に社会性を身につけさせるため「犬の幼稚園」!?なるものがあったりします。朝、自宅までお迎えが来て、日中、幼稚園でほかの犬たちとふれあいながらしつけもしてくれる。飼い主ぬきでスタッフとの遠足もあるそうです。犬は家でマイ・バックパックに荷物を用意してもらい、お迎えが来るのを楽しみにしているようです。しかし費用が高いのでそうそう入園することもできません。


 

 

 

わが家では先代のナナ(ゴールデンレトリーバー)が子供のころ、カミサンが飼い主と一緒に出向くタイプの「犬のしつけ教室」に週1回、2年ほど通いました。そしてナナはのちにそのしつけ教室のモデル犬となり、カミサンもしつけ教室のお手伝いするようになったのです。だから、マリアのしつけに関しては、その時に得た経験から多少の自信はありました。短期間で『ワンワンミシュラン』デビューに向けての訓練を始めましたが、はじめの1ヶ月、マリアは人間社会に、環境の変化におびえて暮らしていたので思うようには進みません。なにしろ社会性ゼロからのスタートだったのです。


 

 

最初のころは足元にまとわりつくだけで、まともに歩いてはくれませんでした。そもそもお散歩という概念がなかったのですから。そして人間社会、都会ならではの生活音=クルマやバイクの音、すれ違う犬!?を怖がり、動けなくなり、ふさぎこむこともしばしばでした。それでも毎日少しずついっしょに歩く距離を伸ばし、1ヶ月を過ぎたころには交通量の激しい大通りの信号を渡って遠くの公園まで歩いて行けるようになりました。日常の散歩で、いっしょに楽しみながら基本的なしつけをしたのです。しつけは人間の子供も同じですが、なにも「幼稚園」に入れなくても、心がけしだいでは日常の生活の中で十分にできると思います。


 

 

そして食事、散歩はできるだけ毎日同じ時間帯にして習慣づけ、環境を過ごしやすいように整え、スキンシップや話しかけることを怠りませんでした。そうこうしているうちに、マリアはボクたちを"自分を守ってくれる頼りがいのあるリーダーだ"と認めてくれるようになったのです。

 

 

しつけなんて人間のエゴだという人もいます。しかし、犬は人間の言葉を喋(しゃべ)れません(理解はできても)。しつけこそが言葉を伝えられるようになるほとんど唯一の方法だと思います。意思の疎通ができるようになれば。犬との生活は何倍も楽しくなるのです。

 

 

 


asanoya.JPG軽井沢の「浅野屋」の前で。しつけがしっかり入っていると、軽井沢銀座をこうしていっしょに歩いてもまったく安心。いい子でした。 現在、雨宿り中。

 

 

 

マリアにとって始めての外泊は那須の超ペットフレンドリーな宿「イマジンドッグス」であったことはすでに触れましたが、そこには看板犬が小型犬から超大型犬まで20頭以上いるのです。まさに小さな犬社会。もしかしたら繁殖場を思い出したかも知れませんが、最初こそ、みんなの迫力に押され気味だったマリアも、次第に犬同士が打ち解け、「ここは楽しいところだ。でも、パパとママがいっしょだし、ほかの人間も犬もいるし、いい子にしてなきゃ」と自然に思い始めたのでしょう。

 

 

 

ボクたちはと言えば、マリアがいい子にしていたら、迷わず声を出して褒めてあげて、いっぱいなでてあげました。そうした飼い主側の態度も重要です。犬だって「こんなふうに振る舞っていたら褒められた、なでられた」ことをこの上ない喜びとしてしっかり覚えているのです。

 

 

 

繰り返しますが、お座り、伏せ、マテ、ヨシ。マリアに教えた動作はそれぐらいです。とくにマテはしっかりとたたき込みました。自身の食事のときはもちろん、お散歩中の交差点、信号などでもマテはとっても大切。赤信号なのに車道へグイグイ引っ張るようでは危なくてしょうがない。

 

 

 

2歳半までろくな食事を食べさせてもらえず、お水さえ満足に飲めず、短い鎖につながれていたために小さな体のまま大人になったマリアは、だからこそ食欲旺盛ですが、わが家にやってきて間もないころから、マテ、ヨシの手順を踏まなければ食べ始めないように、じっくりと時間をかけてトレーニングしたのです。
 

 

 

「マテなんて言わないで、最初から食べさせてあげればいいのに・・・」そう思うのは間違いだと思います。マテ、ヨシ、その指示が、飼い主と犬との順列、信頼関係を構築するのですから。犬にとって食事は最大級の楽しみ、喜びです。でも、だからこそ、まだ食べちゃだめだよ、もういいよ・・・というしつけが大事ということです。自分より偉い飼い主の指示があるまでは我慢しなくっちゃ・・・と思わせる。そこです。人間だって、我慢ができない子は、ですよね。

 

 

 

 

maria_yakiniku.JPG軽井沢の「光州苑」にて。ここは予約して個室のお座敷があいていると、なんとワンコ同伴OKなんです。個室、それもお座敷、ですよ。ありえない~。でもマリアのようないい子 !?  じゃないと、大変なことになりますね、きっと。ご注意を。

 

 

 

今では、軽井沢にある、個室のお座敷のみ犬が入れる焼き肉店でも、マリアは想定外にいい子でいられます(実は、大変なことになるんじゃないかと思っていたんですが)。目の前に骨抜きで320グラムもある骨つきカルビがドーンと置いてあっても、絶対に手を出しません。鼻はクンクン、目はキラキラして泳いでいますが、お座敷にちゃんとお座りしたままです。もちろん、サラダにも、キムチにも、おいしそうに焼けているチジミにも手を出さない。

 

 

犬がお座敷なんて始めての経験でしたけど、これなら東京・赤坂の高級料亭に連れていっても大丈夫かな、なんて思いました。まっ、毛深すぎる輩(やから)は絶対に立ち入れませんが........。(つづく)

 

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