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Sometime Atlas

第十三章 『震災時 愛犬とどう困難に立ち向かえばいいのか』 02

 

3.11の震災経験を踏まえ、大型犬のマリアのいるわが家では、ちよっとおおげさですが、震災・災害対応をレベル1~3に設定しています。

 

 

レベル1は3.11のとき同様に、被災はしたが、自宅になんとか住める状態。レベル2は自宅には住めないが、クルマは使える状態。レベル3は最悪のケースで、居住地から早急に避難しなければならないとき。

 

 

そこで、レベル2/3のとき、ペット連れでは避難所に入れないことを想定したのが 『ミニバン マイ避難所計画』 です。例えば寒い時期でも車内で暖かく快適に足を伸ばして寝るための 「ミニバンぴったり寝袋」なるものを用意しています。それは普段、2つのクッション形状で、車内にあっても違和感なく、また場所もとりません。しかし展開すると2組の-2度対応の寝袋になり、さらに2つを合体するとダブルサイズの2人用寝袋になるというもの。お互いの体温によってさらに暖かくなる。その状態で裏返すとフカフカの敷物のもなるスグレものなのです。マリアは入れませんけどね。

 

 

minivan_nebukuro.jpg① ミニバンの2/3列目席をフラットにしたところ。1列目席との境には自作の遮光カーテンが張られている。②「ミニバンぴったり寝袋は普段、2つのクッション状態。③展開すると敷物にもなる。④2つの寝袋をドッキングさせて2人用の寝袋になった状態。

 

 

 

そして夜、エンジンをかけずに車内に灯をともすための電池式小型LEDランタン数個、就寝時に外から車内が見えないように窓に装着する手作り遮光カーテンなども準備。もちろん、ガソリンは常に満タン。3.11の直後、流通、買い占めの混乱でガソリンや軽油が入手困難になった経験から今ではそうしています。

 

 

わが家のクルマに積んでいる、あるいはすぐに積み込めるよう玄関に準備されている、被災体験から厳選した車載震災対策グッズの一部は以下の通り。


①飲料水
②非常食
③LEDライト&ランタン+電池
④救急キット(医療品)
⑤携帯電話充電器(DC12Vおよび蓄電タイプ)
⑥テレホンカード&小銭(10円玉)
⑦緊急用簡易トイレキット&トイレットペーパー
⑧軍手(絶縁タイプ)
⑨ひざ掛け
⑩着替え
⑪パンク修理剤
⑫けん引ロープ&バッテリーケーブル
⑬キャリーカート
⑭タオル類
⑮折り畳みバケツ
⑯ミニバンぴったり寝袋
⑰愛犬のフード、首輪、リードなど(犬の飼い主のみ)

 

 

さて、2人家族+愛犬1頭になったわが家が今でもミニバンに乗り続けている理由はすでにお話ししました。が、震災時にマイ避難所として使う場合、どんなミニバンでもいいというわけではありません。2~3人家族+愛犬という条件で言えば、ミニバンは乗用型、ボックス型を問わず車内全方向に余裕ある、車中泊可能な、2/3列目席フルフラットシートアレンジ状態の前後長(ベッド長)が1800mm前後あるミニバン、それも2列目席ベンチシートが基本。例えばアルファード&ヴェルファイア、エスティマ、オデッセイ、デリカD:5などです。

 

 

delicad5_interior.jpg

デリカD:5の室内フルフラット状態。ほとんどダブルベッド、お座敷感覚になる。大人でも車内で中腰の移動ができる。AC100V/100Wの電源コンセントは純正ナビとセットで装備されます。

 

 

 

例外として、2人家族+愛犬なら、マリアもお気に入りの "ちょうどいい" フリードの2列シート版=フリードスパイクに注目です。コンパクト&ハイトな5ナンバー容量系ワゴンにして、後席をフラットに格納することで最大1830mmの車中泊可能な完全フラットスペースが出現します。実は、車内で過ごすことにこだわりまくったクルマでもあるんですね。バックドアを、雨をしのぐための巨大なひさしとして使うことができるのも縦開きバックドアを持つミニバンならではの機能でしょう。とはいえ、大型ミニバンでもシートの作りなどによってフルフラット時の最大長がごく短いクルマもあるので要注意。まぁ、それは、寝る人の身長に合わせればいいわけですが・・・。

  

 

flead_spike_hv.jpg

フリードスパイクHV。後席を床に格納すると完ぺきにフラットな、車内泊可能なスペースが出現。最大長は1830mm、室内高は1240mmもあります。ただ、シートのフラットアレンジと違い、床はワイパブルな樹脂製なので硬く、マットは必要。荷室部分左右にはさまざまなポケット、トレイがあり車中泊に超便利。

 

 

ちなみに1/2列フルフラットのシートアレンジはできても使ってはいけません。なぜなら、少なくとも運転席は緊急移動・退避のため、いつでも運転、発進できる状態にしておかなければならないからです。

 

自動車評論家として、普段使いで2列目席は着座時の快適感、贅沢感重視で左右独立のキャプテンシートを推奨しているボクですが、車内をマイ避難所にするならフルフラット化したとき、ちゃんとしたダブルベッド形状になりやすいベンチシートを薦めます。普段使いとクルマのマイ避難所化では求められる要件が違うんです。

 

 

しかし、そんなミニバンの中でも震災時、災害時に最強のミニバンと言えるのが、3.11直後から停電した東北の被災地で復興復旧へ向け大活躍し、真っ暗な避難所に電気を供給し、明かりを灯したエスティマHVでした。

 

エスティマHVinterior.jpgエスティマHVの室内。 2列目ベンチトシートは2/3列目席フルフラットアレンジが可能。写真の2列目キャプテンシートの場合は3列目席を床下格納したスーパーリラックスモードになる。 

 

 

どうして電気を供給でき、灯をともすことができたのか?

 

 

震災後、俄然注目を集めたエスティマHVはトヨタ本社からも多くの車両が駆り出されたと聞きますが、その最大の理由はガソリンの供給が滞った場面で威力を発揮するHVならでは燃費の良さ(高速巡行で13~14km/リットル程度はいく)や多人数乗車&大荷物積載可能な車内&荷室のゆとりはもちろん、電気の供給がストップした場所で『電源供給車』として機能する点にあります。

 

 

2モーターのエスティマHVは走行中、エンジン停止中を問わずAC100V電源が1500Wまで使えるコンセントが車内にふたつ装備され、家庭用の照明器具、暖房器具、テレビ、ラジオ、小型電子レンジ、湯沸かし器、ホットプレートなどを使うことができます。つまり、車内外で自前の暖かい飲み物、暖かい食事にありつくことも可能なのです。

 

 

電源供給車という点ではEVも同じでしょ・・・と思うのは間違いで、EVはバッテリーが底をつけばそれで終わり。ところが、エスティマHVならガソリンが少しでも入っていれば電源供給車として機能し続けてくれます。今、新車で買えるAC100V/1500Wの電源供給可能なクルマは残念ながらモデル末期とも言えるエスティマHVのみ。中古車では先代エスティマHV、アルファードHVだけです。

 

 

 

100Vコンセント.jpg

エスティマHVにのみ装備されるAC100V/1500W電源コンセント(右)。エンジン停止中でも機能する。バッテリーが減ると自動的にエンジンが始動する仕組み。

 

 

 

M7クラスの首都圏直下型地震が4年以内に70%の確率で起こるかもしれない・・・そんな情報が流れる今、HVの存在価値をさらに高めるため、HVには高い環境性能だけでなく、そうしたよりいざというときに役立つ "電源供給" 機能を積極的に盛り込んでほしいと思います。もちろん、自動車評論家として、各自動車メーカーに声を大にしてお願いしているところです。

 

 

繰り返しますが、ミニバンなど、比較的車内が広く、手足を伸ばし横になることができるクルマは、特に中大型犬と暮らし、ペットが避難所に入れない地域に暮らす家族にとっては震災時、マイ避難所として大きな威力を発揮してくれる可能性があります。少なくとも、家族と愛犬が離ればなれにならずに済むのです。大型キャンピングカーとは違い、日常、まったく普通に使えるところもまた現実的選択と言えますよね。

 

 

 

誤解のないように付け加えておきますが、地震直後にクルマを使い、移動してはいけません。東日本大震災でも、クルマの渋滞の列に津波が押し寄せ、多くの人が命を落としました。また、首都圏の場合、3.11の地震の直後から迎えの自家用車などが道路に溢れ、いたるところで大渋滞。バスなどの公共交通機関、緊急自動車が動けず、また避難所への緊急物資の輸送もままならなくなったのです。ここで言うクルマの使い方はあくまで自宅駐車場内でのこと。動かすのは状況が落ち着いてから、が鉄則です。

 

 

 

アルファードHV.JPG

最後になってやっと登場したマリアですが、このクルマは最新のアルファードHV。室内は広大で、2列目席足元フロアもこの通り。ところが、エスティマHVと違い、AC100Vコンセントはなぜかたった100Wまでの容量。災害時、震災時、あまり役に立たない。早期に1500Wにアップグレードしてほしいワン。

 

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