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Sometime Atlas

第十三章『震災時 愛犬とどう困難に立ち向かえばいいのか』 01

 

2011年3月11日。マリアの住んでいる、東京ディズニーリゾートに近い住宅地はTVや新聞で報道されたように、液状化など大きな震災被害を受けました。その日、その時間、その瞬間、マリアはたった1人ぼっちで家の中にいたわけですが、「こんなに怖い体験をするぐらいだったら、鹿児島の山奥にいたほうが良かったワン」なんて思っていないと信じたいところです。

 

 

あれから1年。マリアの家の周りはまだ復興の真っ最中。幸いにもわが家の震災被害は最小限だったものの、地震に対する恐怖はいまだ消えることはありません。M7クラスの首都圏直下型地震が4年以内に70%の確率で起こるかもしれない・・・そんな今、わが家では新たなる深刻な問題が浮上しているのです。

 

 

 

 

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2011年3月12日の近所の様子。液状化で地面から水と砂が吹き出し、道路はひび割れ、ガス管や上下水道管が破裂。上下水道は1カ月半、使えませんでした。

 

 

 

少し前、ポストに市からの通達としてこんな回覧板が届きました。震災時の注意点の中に「震災が起こったとき、避難所にペットを連れてこないでください」と。

 

 

なるほど、市のホームページには 『飼い主にすれば大切なペットでも、避難所でペットと暮らすことになると、うるさい、不衛生、こんな非常時に動物などにかまっていられないなどの理由で、周りの人から迷惑がられる覚悟は必要です』 という、ペット軽視もはなはだしい文面(原文まま)が踊ります。こんなふうに言われてペット同伴で避難所に行けますか?行けるわけありません。

 

 

 

たしかに、東北地方でも避難所、仮設住宅ともにペット不可の場所が少なくないようです。無駄ぼえ、トイレの始末など、問題があるからでしょう。避難所に犬が入れてもらえず、それでも愛犬を見捨てられず、苦渋の決断で車内で一緒に避難生活を送り、犬を受け入れてくれる避難所を探し、さまよった家族もいたそうです。そう、犬も大切な家族なんです。避難所で地震の恐怖に夜泣きする子供がうるさいからといって、夜、子供を外に出せ!なんて誰も言わないですよね。

 

 

 

とはいえ、わが家も署名した『災害時の愛玩動物同伴可能の避難所の確保と増加及び、愛玩動物入居可能の仮設住宅の確保と増加と建設を求める署名』といった活動も行われていて、ペットに理解ある地域では避難所、仮設住宅でペットといっしょに暮らせることが当たり前になるかも知れません。

 

 

 

が、現実問題として、東京をM7クラスの首都圏直下型地震が襲ったとき、避難所、仮設住宅がすぐに機能する保証などどこにもありません。人間が生き延びるのが精いっぱい。ペットとともに震災に立ち向かっていくのはかなり大変なことだと考えています。東北地方の被災地では、行政の言うとおり泣く泣くペットを壊れた家に残し避難し、いまだにペットと暮らせない人たちが数多くいます。それどころか、ペットの消息さえわからず、後悔の日々を過ごしている愛犬家がたくさんいるのです。

 

 

一方で、たとえば、東京・ 板橋区や練馬区ではペット同伴の避難訓練を実施していて、板橋区、練馬区、杉並区、足立区では区の獣医師会と防災協定を締結。避難所でのペットをとりまく問題をみんなで積極的に解決しようという動き、意識があります。練馬区の防災倉庫にはペットフードが備蓄されているそうです!!

 

  

『飼い主にすれば大切なペットでも、避難所でペットと暮らすことになると、うるさい、不衛生、こんな非常時に動物などにかまっていられないなどの理由で、周りの人から迷惑がられる覚悟は必要です』

 

 そうした姿勢の我が街、市の考え方、対応とはまるで違います。

 

 

ボクの知るオーストラリアン・ラブラドゥードルとそのトレーナーは震災直後に東北の被災地三県の避難所に出向き、愛らしいフカフカの犬が多くの被災者を癒やし、元気づけました。犬には、そんな「アニマルセラピー的」役割もあるのに、です。

 

 

Australian_lab.JPGオーストラリアン・ラブラドゥードル。千葉のレイクウッズガーデン ひめはるの里にて。この子を含め、数頭のオーストラリアン・ラブラドゥードルがトレーナーさんと被災地へ支援活動に向かいました。レイクウッズガーデン ひめはるの里のウェブサイトの中に、その時の様子がインタビュー記事として掲載されています。

 

 

 

3月11日以降、うれしかったのは、日本中のペットと泊まれる宿の多くが、ペット連れの被災者を積極的に受け入れてくれたことでした(無料のケースも)。震災下、ペットを連れ、途方に暮れた飼い主がどれだけ助かったことでしょう。心安らいだことでしょう。しかし、まだ体験したことのない直下型地震では、そこへたどり着くまでの道、交通手段さえないかもしれません。

 

 

はっきり言いましょう。わが家では、家族の一員であるマリアをただ一人、壊れた危険な家に残して避難するなんて考えられません。不安で怖がるマリアを家族のいない家に放置するなんて、また空腹で放浪させることなんてとてもできません。クルマやトラックにひかれたり、動物同士のけんかやがれきで怪我したりする可能性だってあるのです。だから、どんな状況でもそばにいてあげたい。そう強く思うのです。

 

 

 

mqria2012.2.24-2.JPGこんなに安心しきって寝ている姿を見るにつけ、どんなことがあっても そばにいてあげたいと思います。ねっ、マリア。

 

 

もっと言えば、マリアは鹿児島の水道も電気も通っていない山奥で鎖につながれ2歳半まで暮らし、地元女性ボランティアのMさんやSさんのおかげでやっと救出されたのですから、そんなつらく悲しい思いなど二度とさせられないのです。 

 

 

 

では、万が一、自宅に住めないような状況になったとき、わが家はどうすればいいのか?愛娘(まなむすめ)と言っていいマリアと離れ離れになることなどできないボクとしては、マリアを含む家族が雨風寒さをしのげる"ミニバン"(多人数乗用車)をマイ避難所にすると決めています。それならマリアといっしょにいられます。わが家には、そんな覚悟があるということです(クルマがつぶれ、流されてしまう・・・・海に近い家ですから、そうしたことも考えられますが、そんな最悪の事態では野営を想定。テントを用意しています)。

 

 

子離れ世代となり、夫婦2人とマリアの生活になっても、多人数が乗れ、広々とした車内空間を持つ"ミニバン"を手放せない理由がそこにあります。ある程度以上のサイズのミニバンなら人も犬も足を伸ばして寝ることができるし、ある程度、プライバシーも守れる。犬が道を歩けないような深刻な状況になったとき、威力を発揮するであろうマリアの愛車(超大型カート)や避難グッズを積み込むスペースもあるのだから頼もしいのです。

 

 

 

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大型ミニバンなら、こんなシートアレンジが可能。フルフラットシートはセミダブルベッドのサイズぐらいになる。荷物はシート下、荷室床下収納に格納することもできる。写真はトヨタ・エスティマ。

 

 

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2011年3月12日に注文、翌13日に届いた!! マリア用の超大型カート。大型犬のマリアでも伏せができるぐらいの室内空間があります。ただ、畳んでもデカい。たとえばプリウスの荷室に入れるとギリギリ。もう何も入らない。全面メッシュなのは通気性がよさそうですけど、逆に雨、風をしのげないのが難点。それでも、イザというときにこれがあれば安全に逃げられる。避難できる。マリアの赤いマイカーです。

 

 

04年に起こった新潟中越地震の際、避難所が人であふれ、多くの被災者、ペット連れの被災者がマイカーの狭い車内での避難生活を余儀なくされたとき、血栓症(エコノミークラス症候群)が問題になりました。が、ミニバンなど、比較的車内が広く、足を伸ばすことができるクルマでの血栓症(エコノミークラス症候群)被害は少なかったそうなのです。そんな教訓からも、わが家ではもはや選択の余地はありません。

 

 

ただ、どんなミニバンでもいいわけではありません。普段使いと震災下で使うのとでは、求められる要件が違いますから。そこのところ、自動車評論家としてきっちりお伝えしなくてはなりませんね・・・・・。(つづく) 

 

 

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