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Sometime Atlas

第十一章『愛犬と暮らす幸せ』 01

 

わが家では先代のナナが亡くなってから2年半、犬がいない時期がありました。ある日突然、朝夕夜の1日3回の散歩がなくなり、部屋もソファもじゅうたんも汚れなくなった。どれだけ掃除をしてもかすかに残るナナのにおいもない。だから毎日散歩のために早起きする必用はなく、頻繁に掃除機をかけなくて済むようになったわけです。家の中はいつもそれまでと違って普通に奇麗です。

 

 

 

それに犬にかかる費用もなくなりました。ナナは大型犬ですから毎日大量のフードやおやつを消費し、季節ごとのレインコート、トレーナー、防寒着、リードや首輪といったアクセサリーも必用でした。結果的に大正解だったペット用の保険にも入っていたんです。だから、ナナがいなくなってからは日々の生活がいろいろな意味で楽になったのは事実です。

 

 

 

でも、わが家には心にポッカリ穴があいたような静けさ、物足りなさがありました。当時は夫婦と娘の3人家族。それなりににぎやかです。しかしそれでもいつもいたはずのナナがいない生活には、まさに家族の一員としての存在感、大きな体、従順でしかし甘えん坊の性格、喜びを全身で表現する愛らしさ、そして美しく長い金色の被毛が与えてくれた「ぬくもり」が欠けていたのです。

 

 

 

犬のいる生活・・・。それは家の中にたくさんの幸せ、小さな喜びを運んできてくれます。今は朝、起きて階下に降りると、それまでとんでもなく無防備な姿で寝ていたはずのマリアはもうスタンバイ状態です。階段の下でしっぽをグルグル振り回し、ピョンピョンとジャンプして全身で「おはよう」を表現してくれます。べつに、何日も会わなかったわけじゃないのに。たった7~8時間ほど、1階と2階に離れていただけなのに。そんなかわいい姿を、ボクらを信頼してくれている様子を見ると、今日もマリアのために1日頑張ろう!そんな前向きな気持ちに、温かい気持ちにさせてくれるのです。

 

 

 

そして1日の始まりは朝の散歩です。朝日を浴び、季節の色彩と風、匂いを感じながら犬と歩く。とてもゆったりと流れる、癒やされる時間です。マリアが嬉しそうに歩いているときはすぐに分かっちゃいます。耳を小刻みに動かしながらリズミカルに前へ前へとズンズン歩くからです。きっと正面から見ると口角が上がりニコニコ笑っているはずです。その姿に思わずほほ笑みがもれ、寒くても心温まり、幸せを感じたりします。

 

 

 

 

よく犬を訓練やしつけを理由に人間の思いどおりにしたがる飼い主を見かけます。が、それでお互いが、散歩が楽しいのかちょっと疑問です。そんなしつけ、訓練ありきの犬の表情を観察すると、残念ながら笑ってはいません。緊張しているだけ、卑屈になっていたりして、散歩が全然楽しそうじゃない。嬉しそうじゃない。愛犬がうれしさ、楽しさを全身で現す姿にこそ、飼い主は本当の意味で癒やされ、幸せを感じるもんだと、少なくともボクたち考えていますから、それはどうかな?と思うわけです。

 

 

 

マリアには特別厳しい訓練をしていません。奇跡的に救われ、得た、第二の犬生でもうつらい想いはさせたくないですから。でも、お互いの信頼関係が構築されていて、最低限のしつけが入っていれば、誰に迷惑をかけることなどありません。毎月のように愛犬と泊まれる宿に滞在し、ドッグカフェに足を運びますが、そこで出会った人たちに「いい子ですね、おとなしいですね」と褒められることはあっても、顔をしかめられたことなど一度もないんです。まっ、他人に愛想がないから、そう思われるのかも、ですが。それに、マリアは仕事もしています。始めて会う人たちだらけの現場でもいい子でいられるのですからそれで十分じゃないですか。親バカヤローな発言、ですがね。

 

 

 

odawara_soba_maria.JPG                      小田原のお蕎麦屋さんにて。ここは犬用のお蕎麦をサービスしてくれるんです。いい子にしてましたね。

 

 

 

マリアは散歩で出会う犬たちととても仲良しです。鹿児島の繁殖場時代、犬同士で遊ぶことを経験してないせいか、成犬になった今でも、お気に入りの犬と対面すると、子犬のように無邪気に突進していくのはちょっと問題ではありますが、そんな性格のマリアにも、仲良く遊んでくれる犬友達が何頭かいるから幸せです。近所の広々とした芝生の公園やドッグランで思いっきり遊んだあとのマリアの満足しきった笑顔、シッポを回し表現するとびっきりのうれしさを見るにつけ、飼い主のボクらもまた楽しい時間を過ごせたと心底、感じます。

 

 

 

 

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近所のお気に入りの公園にて。1年中、芝生が刈り込まれ、朝夕は犬だらけになります。幸い、わが家の回りの環境は犬たちにとって最高です。笑ってますね。

 

 

 

散歩のあとは朝食です。マリアにとって最高に幸せな時間、それはホカホカのご飯が目の前にあり、「ヨシ」と言われ、食べ始められる瞬間じゃないでしょうか。たまにボクだけのときはドライフードだけの場合があります。いつもと違うぞと、ほんの少し不満そうな顔をしながらも、それはそれはおいしそうに食べてくれます。が、カミサンが手作りしたおかずを温め、トッピングしてあげたときは、食べ終わってからも食器を何度もペロペロなめ回すほど喜びます。お皿、洗う必要がないほどきれいになります。ほんの少しの手間をかけてあげるだけでこんなにもおいしそうに、嬉しそうに食べてくれる。だから、また作ってあげようという気持ちにさせてくれるのです。まぁ、マリアの小さな頭で考えた作戦かも知れませんけどね・・・。

 

 

 

 

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ところで、マリアはボクよりカミサンのほうが大好きです。かなり悔しいですが、寝ているとき以外、ご飯を食べているとき以外、家中、いたるところ、カミサンについて回っています。掃除機をかけていれば一緒について回り掃除の邪魔をしています。そもそもお前の抜け毛を吸い取ってるのに。時折「邪魔よ~マリア」というカミサンの声が聞こえてきますが、それはすぐに笑い声に変わります。カミサンもマリアのストーカーぶりが嫌じゃないようです。いっしょに家事をしている、掃除機をかけている、そんな楽しい気分なんでしょうね?

 

 

 

マリアは日中、ほとんど寝ています。何も警戒することなくスヤスヤ寝ている姿は、不思議とボクらの心を癒やし、気持ちを温かくしてくれます。ただ寝ているだけで人を癒やせるなんて、すごい特技だ。思わず撫(な)でてみたりすると、マリアはスヤスヤ寝息をたてながらも口角を上げ、幸せそうな表情を見せるのです。本当は起きているのか?いや、寝ている・・・。

 

 

 

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        マリアは寝ているとき、舌を出すクセがあります。可愛いですね。でも、笑える、とも言える。どんな夢をみているんだか・・・・・。

 

 


愛犬と暮らす幸せ、それは愛犬のいる、当たり前の日常の中にあります。そんな生活ができるだけ長く続きますように。マリア、長生きするんだぞ!

 

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