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連載第001回 1.DESIGNとは何か? デザインは詩(POETRY)

デザインは詩(POETRY)

 

 バックミンスター・フラー(1895~1983)、聞いたことありますか?

 

「もし、詩が最小限の言葉で最大のことを語るならば、史上最大の詩人はアインシュタインではなかったか。なぜならば、彼はこの宇宙すべてをE=Mc2でまとめてしまったからである」

 

 彼の言葉です。この言葉からわかるように彼は科学者でした。建築家、幾何学者、思想家、デザイナー、発明家そして彼自身がアインシュタインを詩人と表現する詩人でもありました。

 

 また後述しますが、大学の卒業設計は「空飛ぶ家」でした。私の「空飛ぶ家」=球体をどう「割るか」を追求するため、図書館で文献をあさっていたとき私はフラーに出会いました。フラーの「ジオデジックドーム」の発想は、私を衝撃の世界に連れて行ってくれました。その日以来、私がもっとも敬愛する偉人として、彼はいつも私のそばにいてくれました。まさか私が彼のオフィスでいずれ仕事をするようになるとは思いもしませんでした。

 

 私自身がとらえるデザイン、それは必ずしもデザイナーや建築家が手掛けるデザインだけではありません。デザインの基に存在するのは「宇宙」、「自然」ととらえています。

 

 狭義のデザインから少しだけ離れ、宇宙や自然の営みに魅了された私のデザイン観をお伝えしたいと思います。

 

私にとって、デザインとはまさしく詩(POETRY)そのもの。
「最小限でどれだけ最大の効果を生めるか」です。

 

 この観点はフラーからそしてさらに自然界からもたらされました。宇宙そして自然からは真理がとめどなく私自身に降りてくるようでもあります。この意味で、私のデザインは「自然主義」です。

 

自然主義のデザイン

 

 私にとって「自然主義」のデザインとは、自然の摂理、現象、形、原理を深くとらえ学んだデザインを指します。人類主導の姿勢から自然をとらえるのではなく、自然を畏敬し学ぶことからすべてを始めるのです。

 

 自然のデザインに強く惹かれる理由は、そこには「ムダ」がないからです。そして、その結果「美しい」からです。自然主義のデザインとは、エネルギーの消費を最小限に抑えつつ、最大限の効果が得られるかを追求した形だといえます。たとえば、自然界では、あるものがA点からB点まで移動するとき、最短の直線で2点が結ばれ、遠回りすることはありません。

 

フラードームの概念模型

鈴木氏・フラードームの概念模型.jpg ひとつの好例が、フラードーム(ジオデジック・ドーム)でしょう。これは、バックミンスター・フラーが1947年に考案したドーム状の建築物です。

 

 限りなく球体に近い形状をしています。しかし、よくよく近づいて解析すると、いくつもの三角形で構成されています。その一つ一つの三角形はアーク(弧)ではなく、直線で構成されており、エネルギーを極力消耗しない結び方となっています。

 

 ちなみに、自然界の「器」を研究すると、そのほとんどがフラードーム構造になっていることがわかります。かぜや世界中で猛威をふるうインフルエンザのウイルスの殻=器がそれです。フラードーム構造は強度があり、より少ない表面積でより大きな体積を有しています。ウイルスにとって、もっとも効率が良く経済的な器になっているのです。つまり、フラードームは、自然界に学びつくりあげられたもっともエコノミカルな構造体なのです。

 

 ウイルスの殻でわかる通り、自然界は最小限で最大の効果を得られるデザイン=カタチとなっています。「デザイン」=飾りを付ける、化粧をする、と思われがちですが、それは違います。自然界にならえば、デザインとは「足す」のではなくて、「そぎ落とす」行為です。機能を全うしながらどこまでムダをそぎ落とせるか、というチャレンジにほかなりません。

 

 ウイルスは普通目に見えませんが、わかりやすく目に見えるところでは、水中を高速で泳ぐサメやイルカ、または、空を飛ぶ鳥でしょう。それぞれの環境下で、スピードを必要とするために、いらないものをそぎ落とした必要最小限の形状(デザイン)でまとまっています。

 

 生物のなかに一見「飾り付け」をしているかのような生き物もいないわけではないですが、それらは敵から身を守るための「カムフラージュ」や子孫を残すためのセックス相手を引き付ける必要に応じた手段なのです。

2010.02.08|15:44|鈴木エドワード
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