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7.水と原子:アトメトリックス②

es-water-23.jpg しかし、すんなりと掲載というわけにはいきませんでした。とにかく、不確定性原理によって原子のモデル化はナンセンスとされており、ある意味ではタブーでもあったからです。それでも、審査員に根気強く説明し続けた結果、ようやく5年後の2002年に半分だけ掲載されました。「ここまできたら、残り半分もすぐに掲載されるだろう」と安心しましたが、残り半分の審査にも5年かかり、掲載されたのは2007年でした。なぜなら、審査員が前回と全部入れ替わったからでした。実に10年の歳月をかけて一つの論文を発表したことになります。
  

 

 

 

 

 

 

ダイヤモンドを超えるダイヤモンド!?

 

es-water-24.jpg そんな経緯があって発表したアトメトリックスの論理ですが、はたしてどれくらいの科学者、物理学者、化学者が読んでくれたかは分かりません。ただ、目にした科学者、物理学者、化学者の90%以上は、まともには相手をしてくれなかったでしょう。何しろ、不確定性原理に逆らって、タブー視されている原子のモデル化に関する内容です。だから、発表後、マスメディアに大きく取り上げられて「科学界に一石を投じた」などといった展開はありませんでした。
 それでも、私は満足しています。アトメトリックスによるモデル化は、量子力学に比べると単純明快です。だからこそ、真実に近いと思います。私は建築家ですので、構造に関しては、いささか精通していると自負しています。建築家の観点から、アトメトリックスのモデルを判断すれば、非常に単純明快であるがゆえ、いろんなことが分かり、説明できます。また、『FORMA』で発表した論文は、「アトメトリックス」は分子構造の関係性を明らかにするだけでなく、あらゆる予測にも寄与すると展開しました。そして、最後に、いくつかの存在しない分子のモデルを作り、「まだ発見されていないが、自然界もしくは実験・研究によって人工的に作られる分子があるのではないか」と締めくくりました。
 今だから言えますが、当時、私の理論では、今のダイヤモンドの2倍の密度を持つダイヤモンドが存在する可能性がアトメトリックスのモデルから予測できました。しかしながら、「水の記憶事件」ではありませんが、こんなことを論文で発表すると審査段階で物儀を醸して論文の掲載そのものが危ぶまれる可能性があったので、あえて発表を控えました。いずれ、機会があれば、ダイヤモンドの分子構造をアトメトリックスのモデル化で解き明かし、さらなる強度を持つダイヤモンドの存在の可能性を指摘したいと思っています。
 

 建築家がDNAを研究していたら...

 

es-water-25.jpg 量子力学は、1925年に基礎が考察され、1927年の不確定性原理によって確立しました。以降、原子や分子の構造のモデリングはナンセンスとされてきました。ところが、1953年、アメリカの分子生物学者であるジェームズ・ワトソンと、イギリスの科学者であるフランシス・クリックがDNAの二重らせん構造を解明します。この20世紀最大の発見と言われる研究のプロセスを見ますと、塩基などの分子模型とX線回折の写真を参考にして、既知の情報に矛盾しない構造をモデルリングした結果、たどりついています。同時、すでに量子力学の基礎が確立していましたが、"ナンセンス"との烙印を押されたモデリングが世紀の大発見を導いたのです。つまり、私は、なぜ、こうした実績があるにもかかわらず、モデリングを否定するか、と言いたいわけです。余談になりますが、もし、分子生物学者や科学者ではなく、建築家がDNAの構造解明に参加していたら、どうなっていたでしょう? あくまでも、いち建築家の持論に過ぎませんが、次のように思ったりもします。
「2次元で考察する化学者・科学者よりも、立体的な考察に慣れている建築家が参加していたなら発見は早まっていたのでは?」

 

                            ◆次回更新は1月23日の予定です

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2012.01.10|00:00|GOoD DESIGN

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