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3.環境-ARTS PARK TOKYO

不思議な年賀状-1989年

 

  環境の話題の一つとして、以前、私が遊び心で創造した教育環境について話しましょう。
 1989年、私は一風変わった年賀状をつくりました。それは、年賀状というよりも、もはやパンフレットと呼べる大きさでした。加えて、内容も、だれもが驚くものでした。普通、年賀状には、「謹賀新年」や「あけまして おめでとうございます」といった新年のあいさつが大きく書いてあります。でも、私の年賀状は最後に申し訳程度で「Wishing You a Happy New Year.」とあるだけです。大部分を占めたのは、教育環境イベント「ARTS PARK TOKYO」の開催告知です。
 最初に断っておきますが、「ARTS PARK TOKYO」は私の想像の産物です。実現はもとより、計画すらない絵空事です。

                                  

                                  ©鈴木エドワード建築設計事務所
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 まず、舞台となったのは、汐留です。今ある汐留シオサイトは、2002年以降に形成されたもので、当時は、貨物ヤードだったJR貨物支線汐留駅の跡地であり、日本国有鉄道清算事業団が管理する更地でした。
 構想では、ここに巨大な人工の丘陵地を誕生させます。丘陵地は芝生で覆われ、だれもがくつろげる公園になっています。さらに、中央部にはアーティストの活動の場となる野外劇場も見えます。丘陵には、かつての線路をイメージする切り込みがあります。これはデザイン的な意味のほか、重要な意味がありますが、後で説明します。
 このまま終わってしまうと、「ただの公園と野外劇場」です。教育環境イベントを掲げる以上、ミュージアムやホールがなくては話になりません。では、どこにミュージアムやホールをつくったかと言いますと、丘陵の中です。丘陵地を再現した人工物は、実は建物を覆う屋根だったという仕掛けです。
 丘陵の中には、そこにはシアターやアートミュージアム、サイエンスミュージアム、ホール、ギャラリーが建ち並ぶほか、世界各国から訪れるクリエーターが宿泊するホテルもあります。ここで、毎日、さまざまな芸術活動が繰り広げられるのです。また、閉そく感を少なくするため、自然光と風を取り込む工夫もしました。それが、丘陵の切り込みであり、採光口や通風口の役割を担っています。

 

幻の「ARTS PARK L.A.」

 

 想像の産物「ARTS PARK TOKYO」が生まれたきっかけは、ロサンゼルスの国際コンペティション「ARTS PARK L.A.」です。当時、ロサンゼルスで、「ARTS PARK」と題した広大な公園建設の計画が持ち上がりました。敷地は60エーカー(約24万2800㎡)で、敷地内に5つの施設を有する構想でした。私が参加したコンペティションは、その施設の一つで、それぞれ1800人と500人を収容する2つの劇場を内包する劇場コンプレックスでした。

 

©鈴木エドワード建築設計事務所
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 私の作品のコンセプトは、周辺の自然が織りなす田園的な風景を壊さないことでした。というのも、計画地一帯は、アメリカ中に知られる自然保護団体「シエラクラブ」が目を光らせているのを知っていたからです。自然環境を否定するような人工的な建築物では、クレームがつくのは分かりきったことでした。風景を壊さずに劇場をつくる――私はその解答を人工的な丘に求めました。「ARTS PARK TOKYO」で話したように、人工的に屋根となる丘陵を再現し、その中に劇場を収めるプランです。

 

                                          ©鈴木エドワード建築設計事務所
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 このプランは、第1次審査を通り、最終審査に進みました。が、最終的に2位となり、採用されませんでした。1位になったのは、地元ロサンゼルスに拠点を構える建築家でした。もっとも、審査員の多くは彼が教鞭を執った学校の卒業生であり、最初から決まっていたようなものでした。作品はと言えば、私の提案とは180度違った彫刻的な風貌をもった、いかにも人工的な劇場でした。

 

 

 

 

 ところが、私が懸念した通り、1位の作品はシエラクラブの猛反対に遭って実現が困難になりました。そうこうしているうちに、ロサンゼルスの経済も低迷したこともあり、「ARTS PARK L.A.」計画そのものが、とん挫しました。

                          

                     ◆次回の「GOoD DESIGN PHILOSOPHY」は12月27日更新予定です

                            次回の「私が設計した建物紹介」は12月20日更新予定です 

2010.12.13|00:00|GOoD DESIGN

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