私が設計した建物紹介011 OKUIX(奈良・1991-93年)
OKUIXは、コンピュータチップを包むテープを製造する会社です。今回紹介する作品は、OKUIXの奈良工場で、鉄筋コンクリート構造4階建てです。1階と2階が工場で、3階にはオフィスとゲストルームがあり、4階はミーティングルームというレイアウトです。
©鈴木エドワード建築設計事務所
工場といえば、コスト面のこともあり、シンプルなデザインが一般的です。ここでも、いろいろと凝ったファサード(正面)を考えましたが、いずれもコストなどの面から難しく、最終的にコンクリートによる打ちっぱなしのファサードに落ち着きました。ただ、ファサードは建築物の顔です。やはり、無表情では寂しい。ということで、OKUIXのCIロゴをファサードにレリーフとして彫り込みました。アルファベットの「O」と「X」の一部は、開口部にしました。写真を見ればお分かりいただけると思いますが、レリーフを彫っただけで、こんなにも表情が豊かになりました。
さらに、シンボリックな意匠として、ファサードには、外から直接、オフィスやゲストスペースのある3階に通じる直通外部階段を設けました。コンピュータ関連の部品を製造する工場ですから、中に入れば、非日常的なクリーンルームが待っています。この日常と非日常の切り替えを重視し、この階段を日常と非日常を切り替えるトラジッションの役目を担うインターフェースに位置付けています。
©鈴木エドワード建築設計事務所
3階の中央には2層吹き抜けのパティオ(中庭)があり、各部屋はパティオを囲むように配置しました。無機質で冷たいイメージになりがちが工場ですが、ちょっとした演出で明るく開放感のある空間になります。4階へのアプローチは、パティオにある螺旋(らせん)階段です。オフィスから一度パティオに出て、らせん階段でミーティングルームのある4階に向かうわけですが、部屋という閉じられた空間から開放感のあるパティオを通ることで気持ちの切り替えやリフレッシュ効果を狙っています。
余談になりますが、建設計画はバブル経済期のさなかに始まり、バブル経済が崩壊していく過程でさまざまなデザイン変更を経ています。ある意味、時代を象徴するプロジェクトでした。
◆次回更新は1月31日の予定です
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