私が設計した建物紹介006 KAWANISHI RESIDENCE(世田谷・1995年)

KAWANISHI RESIDENCEは、世田谷区の閑静な住宅地に建つ3世帯4世代が暮らす住宅です。オーナーの希望は、3世帯がそれぞれユニットを持つプランでした。敷地面積は約330㎡で、建ぺい率は50%、容積率50%です。この空間をフルに活用することを考え、1階に自動車が3台収納できる車庫と祖母のユニット、2階に長男家族のユニット、地下に親夫婦のユニットの重層プランをプランニングしました。
この住宅の特徴は、中央に内包された大きな楕円の外部空間です。住居ユニットは、楕円の外側に寄せられています。この楕円の空間が、重要な役割を担っています。
まず、3世帯の家族がそれぞれのユニットで生活しているにもかかわらず、上下階に住む家族の人影や声、明かりを感じ、まるで同居しているかのように演出できることです。そして、内面に壁ではなくガラススクリーンを配することで、外部と一体となり開放感が増すほか、いろんな角度の中庭の風景を内部に取り入れることができます。
楕円の空間を通して地階から天空を仰いだり、光や風を感じたりもできます。地上階では、外部に接するファサード(正面)と側面をフロストガラスで覆われた楕円の空間が、外部空間として確立しながら、周辺環境をガラス越しの陰影で伝えています。つまり、この楕円は、外部空間でありながら、きわめて内部に近く、視覚的なリビングスペースの機能を果たしています。一方、ファサードは、内部とは対照的に直線的にまとめました。コンクリートとフロストガラスを使って街並みと並行に設計することで、静穏な住宅街に溶け込ませるためです。

©鈴木エドワード建築設計事務所
この手法は、私がテーマとするインターフェース(中間領域)です。都市住宅のプライバシーを確保しつつ、敷地内に小宇宙を造る―――今回は、この楕円が小宇宙です。
今後、高齢化社会が加速する中、2世帯、3世帯が同居する住居が増えるかもしれません。
「そのとき、それぞれの家族のプライバシーを保ちながら、同居するにはどうすればいいのか」
カギは、空間の新しい提案にあると思います。その意味で、KAWANISHI RESIDENCEは、好例として楽しく仕事させていただきました。



