私が設計した建物紹介004 SUPER VILLA Ⅱ:SERPENTE(軽井沢・1985-87年)
「蛇は、自分よりも大きな相手であっても、潰し、砕きながら丸呑みしてしまう。そんな蛇に得も言われぬ迫力を感じる」
南側は、全面、鏡面仕上げ。屋根はスチールのラチス梁。写真のように、建物のストラクチャーと相まって、大蛇の蛇腹やうろこのように見えます。
この言葉は、SUPER VILLA Ⅱ: SERPENTE(大蛇)の設計に取り掛かる1年ぐらい前に、私がある雑誌に寄せた一文です。この蛇の話は、無意識のうちにSUPER VILLA Ⅱのプロジェクトに大きく影響しました。完成したストラクチャー(構造)の模型は、Sを大きく伸ばした形で、大蛇を連想させます。中央部の膨らみは、大蛇が獲物を呑み込んだ姿をイメージしています。
その中央部の南側に、厨房と食堂があるリビング・ダイニングルームを配しました。
「大蛇が獲物(食物)を壊す(消化する)腹の部分に、食事を作る厨房を作るとはアイロニー(皮肉)だ」
「いやいや、大蛇が食物を消化する腹の部分で、人間も食事をして消化するのだから理にかなっている」
みなさんは、どう思われたでしょうか?

居室は、管理人室を含めて全6室。曲線を描く建物に対して、居室は直角で構成し、大蛇の内臓のごとく配置しています。また、人が出入りする玄関は、大蛇の両エンドにはなく、中央部の北側に設けました。呑み込まれた獲物が、大蛇の腹を破って外に出るというイメージです。
突如現れたプレデターやUMAのように、異彩を放ちつつもカモフラージュして森に溶け込んでいる―――私はこの世に存在しないものをイメージして追求したのかもしれません。



